熱中症対策で塩分の摂り過ぎに注意!!

毎日、暑い日が続きますね。急に暑くなった日は、必ずと言っていいほど熱中症で搬送されるニュースが聞かれます。毎年、熱中症で救急搬送される方は5万人前後で、厚労省、総務省、環境省がそれぞれ熱中症対策を声がけしています。

熱中症救急搬送の43%は室内での発症です

熱中症対策について、厚労省、総務省、環境省のホームページです。

http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000001ei44.html
http://www.wbgt.env.go.jp/doc_prevention.php
http://www.fdma.go.jp/neuter/topics/fieldList9_2.html

熱中症は、炎天下の屋外だけでなく、室内でも発症します。
昨年の熱中症による救急搬送人員でも、43.1%は室内で起きています。

http://www.tfd.metro.tokyo.jp/lfe/topics/201505/heat.html より抜粋

私も産業医として、夏場の職場巡視では、熱中症予防に重点をおいています。温度計が設置されているところでは実測値を確認するのはもちろん、体感でオフィスが暑くないかを確認しながら巡視を行っております。また、皆さんにこまめに水分補給をするようにも声がけをしております。

高血圧で塩分制限中なのに、熱中症対策飲料を毎日飲む?

ある夏の日、デスクの上に、飲みかけの熱中症対策飲料のペットボトルが置かれているのを見つけました。最近は、「熱中症対策飲料水」を店頭で見かけますよね。「いつもこれを飲んでいますか?」とご本人に尋ねると、「はい。会社の向かいにあるドラッグストアで、毎日買って飲んでいますよ。熱中症には、ただの水より塩分が入っているほうがいいらしいですね。できるだけ多く飲むといいみたいですから、毎日2-3本は飲んでいますよ。」との答え。
この方は高血圧で治療中であり、先日も健康相談で食事の際、塩分制限を指導しておりました。ラーメンのスープは残しましょうとか、漬物におしょうゆをかけないで食べましょうなどと指導しましたが、この熱中症対策飲料は、どうなのでしょう?

激しい運動や屋外での労働などで、大量に汗をかいている場合は、水分ともに塩分(ナトリウム)が出てしまっています。汗をかいたあとベタベタしているのは塩分が出た証拠。腕などをなめるとしょっぱい(不潔な話でスミマセン)ですよね。そういう時は塩分が出てしまっていますので、水分だけでなく塩分補給も必要になります。水分、塩分、電解質が含まれたスポーツドリンクや経口補水液が適しています。
ところが、少量の汗の場合は水分が99%であり、ほとんど塩分が出ていません。冷房がきいていて汗をかかない時に、塩分の多い熱中症対策飲料水などを水がわりに飲んでいると、ペットボトル500mlで食塩1gを余分に摂ることになってしまいます。

「熱中症対策」の表示は、厚労省のガイドラインで示されており、ナトリウム濃度として、飲料100mlあたり40~80mg(食塩相当量として0.1~0.2g)含有する清涼飲料水であれば、「熱中症対策」の用語を使用することができるとされています。経口補水液は、糖分がスポーツ飲料より少ないのですが、ナトリウム量がさらに多く、100mlあたりでは塩分0.3gほどになります。(栄養成分の量としてナトリウム量で表示していたものは、食塩相当量(ナトリウムの量に2.54を乗じたもの)で表示するようになりました。)

日本人の一日の平均塩分摂取量は、男性は10.9g、女性は9.2gです。厚生労働省では、一日の塩分摂取目標量を男性8.0g未満、女性7.0g未満にしています。日本高血圧学会が提唱する高血圧患者の塩分摂取目標量は一日6gです。

 

この方の場合、室内作業でほとんど汗をかくことが無いにもかかわらず、「熱中症対策飲料水」を水がわりに一日に1000~1500ml毎日飲んでいました。一日に塩分を3gも余計に摂っていたことになります。
高血圧の方でも、大量の汗をかいたときや、下痢、風邪などで食事が十分に摂れていない時には、熱中症対策飲料水が必要になりますが、汗をかいていない時の水分補給は、塩分を摂らなくても大丈夫です。それほど汗が出ていないときには、水分とミネラル補給としてノンカフェインの麦茶などがおすすめです。カフェインは、利尿効果があるので、コーヒーや緑茶、烏龍茶などの飲みすぎには注意してください。特に、アルコールは利尿効果が強いので、くれぐれも水分補給として飲まないようにご注意を。

 【健検公式テキストp24~】

 


勝木美佐子 (かつき・みさこ)

医学博士/産業医/労働衛生コンサルタント
日本大学医学部兼任講師、日本医師会認定産業医、日本医師会認定健康スポーツ医、日本人間ドック学会社員、日本公衆衛生学会評議員、日本産業衛生学会指導医、人間ドック健診専門医・指導医他、複数の学会で座長も務める。臨床医として診療活動と共に、産業医の経験も豊富。2016年産業医事務所を開業する。


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