良い睡眠は環境づくりから、心身ともに健康な目覚めに

なかなか寝付けない「入眠障害」や、一晩に何度も起きてしまう「中途覚醒」、早朝に起きてしまう「早朝覚醒」など睡眠障害には色々あります。布団の中で、翌日の仕事のことを考えると余計に眠れなくなると訴えるかたもいます。

仕事の能率がおちる「睡眠不足」、大切なのは満足度

朝晩が涼しくなり、寝苦しい夜から解放され、ぐっすり快眠できる季節になりました。皆さんは、朝スッキリと目覚めていますか?今日は睡眠のお話をします。

産業医先の健康相談で、疲労が蓄積している方と面談する機会が多いのですが、疲労困憊のかたに共通して見られるのが、「睡眠不足」です。ほとんど眠れずに仕事へ行っても、頭の回転がなかなか回らず、当然仕事の能率が落ちてしまいます。ケアレスミスなどしようものなら、その対処にさらに時間がかかり、1日の仕事が終わらず残業になってしまう。そのような負のスパイラルに陥らないように、しっかり睡眠をとりたいものです。

健康日本21(第2次)では、睡眠についての目標を「睡眠による休養を十分とれていない者の割合の減少目標値15%」としています。「睡眠で休養が十分にとれていない者」とは睡眠で休養が「あまりとれていない」又は「まったくとれていない」と回答した者です。年齢調整した、「睡眠で休養が十分にとれていない者の割合(総数)は平成21年で19.4%、平成24年で16.3%、平成26年で21.7%、であり、平成21年、24年、26年の推移で有意に増加しています。

ここで注目すべきは、健康日本21では、睡眠時間ではなく睡眠満足度を挙げていることです。たとえ、睡眠時間が短くても深い睡眠が取れていれば、起床時はスッキリと目覚められ満足度が高くなりますし、長い時間睡眠をとっても睡眠の質に問題があれば、満足度は低くなります。

健康づくりのための睡眠指針2014「睡眠12箇条」をチェック

厚生労働省では、健康づくりのための睡眠指針2014として、睡眠12箇条を挙げております。

1.良い睡眠で、からだもこころも健康に。

2.適度な運動、しっかり朝食、ねむりとめざめのメリハリを。

3.良い睡眠は、生活習慣予防につながります。

4.睡眠による休養感は、こころの健康に重要です。

5.年齢や季節に応じて、ひるまの眠気で困らない程度の睡眠を。

6.良い睡眠のためには、環境づくりも重要です。

7.若年世代は夜更かし避けて、体内時計のリズムを保つ。

8.勤労世代の疲労回復・効率アップに、毎日十分な睡眠を。

9.熟年世代は朝晩メリハリ、ひるまに適度は運動で良い睡眠。

10.眠くなってから寝床に入り、起きる時刻は遅らせない。

11.いつもと違う睡眠には、要注意。

12.眠れない、その苦しみをかかえずに、専門家に相談を。

健康づくりのための睡眠指針 2014
平成26年3月 厚生労働省健康局 より抜粋
www.mhlw.go.jp/file/06-Sesakujouhou-10900000-Kenkoukyoku/0000047221.pdf

上記に挙げられているものは、良い睡眠を取るために重要な12箇条ですが、産業医面談では、それ以外に重要な項目があると痛感するものがあります。それは、睡眠状況・環境です。

 

睡眠モードは寝巻きに着替え、布団に入り、灯を消す

産業医面談で、「朝の目覚めがよくない」方に、まず「どこで」「どのような状況」で寝るか聞くことにしています。かなりな頻度で、「ソファで寝る」「食卓・こたつでそのまま寝る」「テレビや照明をつけっぱなしで寝る」と答えます。1人暮らしのかただけでなく、家族がいらっしゃるかたにもいます。真夜中に一度起きて、それから寝室に行くかたもいますが、朝までそのままのかたもいます。これでは、どんなに睡眠時間をとっても翌朝の疲れは取れません。

良好な睡眠を取るために、まず寝巻き・パジャマに着替えて寝る体制になりましょう。着替えることにより、「これから睡眠をとるんだ」と睡眠モードにシフトできます。そして、テレビや照明は必ず消して、布団やベッドなど寝具にはいって寝てください。

このように説明しますが、返ってくる言葉は、「夕飯を食べると眠くなってそのまま寝ちゃう」や、「テレビや照明がついてないとかえって眠れない」との返事。「睡眠不足のため、食事をすると強い眠気が襲ってくるのでしょうが、必ず布団に入りましょう。」、「テレビや照明はオフタイマーをつけましょう。」と回答します。

睡眠は、心身ともに健康には欠かせないものです。質の良い睡眠をとり、翌朝スッキリと起きて、清々しい朝の空気を胸いっぱいに吸いたいものです。

【健検公式テキストp100「睡眠の質が健康のカギ」参照】

 


勝木美佐子 (かつき・みさこ)

医学博士/産業医/労働衛生コンサルタント
日本大学医学部兼任講師、日本医師会認定産業医、日本医師会認定健康スポーツ医、日本人間ドック学会社員、日本公衆衛生学会評議員、日本産業衛生学会指導医、人間ドック健診専門医・指導医他、複数の学会で座長も務める。臨床医として診療活動と共に、産業医の経験も豊富。2016年産業医事務所を開業する。


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