若さの秘訣は健康習慣を実践すること

健康寿命とは「日常生活に制限のない期間の平均」のみならず、「自分が健康であると自覚している期間の平均」でもある。「どうせなら楽しく働きたい!」と、71歳の小巌和子さんの健康習慣を聞いてみた。

 

苦難を乗越えてQOL(生活の質の向上)を…

「いらっしゃいませ~!」「ありがとうございました~!」「かしこまりました~!」 今日も小巌さんの子気味良い声がお店に響いている。71歳。おばあちゃんと呼ぶには申し訳ないような外見の若さ。この若さ、いったい、どこから来るのだろう。

お店が落ち着いて、仕込みをする時間になると、人間観察が大好きな私は小巌さんの近くに寄って行き、いろいろな質問をしてきた。どんな質問にもまじめにちゃんと考えて答えてくれ、自分が経験してきたことを思い出しながら話をしてくれた。

小巌さんはなんたって明るい。いつだって明るい。きっと順風満帆で人生を渡ってきたのだろうと思っていた。飲食店でパートをしているのも生活のためではなく、働くことで若さを保とうとしているのだろう、そんな程度に考えていた。しかし、いろいろ、話を聞いていくうちに、順風満帆どころか波乱万丈に近い感じさえ受ける。

恵まれたとはいえない幼年期を経て、24歳で同い年の富雄さんと社内結婚し、2男1女を授かる。36歳で夫が起業し独立。30年近く経営してきた会社も65歳を迎える前に倒産。終の棲家と考えていたマンションも7年前に手放した。なんで、この年になって借家に住まなくてはならないのと、夫に泣いて訴えたそうだ。持ち家を出て行かなくてはいけないと聞いて3日間泣き続けた。しかし、泣いてもどうしようもないこともあると。60年以上生きてきて、その部分は悟りもあると小巌さんは言う。会社を整理して借金を返したら何も残らなかった。よそ様にご迷惑をかけなかったことだけは良かったと思っていると今では笑い話のように話してくれる。会社をたたんで、一息ついたら、夫は肝臓癌で6年前に他界した。小巌さんは呆気なかったと振り返った。

なんでそんなにいつも明るくいれるの?唐突に一番疑問に感じていることを聞いてみた。

「いくつものスイッチを持っているの。そのスイッチを点けたり、消したりして明るさを保っている感じかな?」と笑う。「ストレスはないと思う。」とも言った。

毎週金曜日は近所の仲間と近所のテニスコートでテニスをしている。また、第3土曜日には横浜本牧までツイストを踊りに行っている。自分を楽しんでいるらしい。

この5月には船旅に出かけ、昨年はラスベガスに行った。遊ぶお金は飲食店でのお給料を貯めて使っている。お金を貯めるのは得意だそうだ。若いアルバイト君たちにもよく伝授しているのを小耳に挟む。「塵も積もれば山となる!昔の人はよく言ったものね~」と小巌さん。

 

健康リテラシーから生まれる幸福感

働いていると安心する。小巌さんは働き者だ。ラーメン店の他に季節の仕事で、お寺の掃除。その他にも在宅で織物を織っている。織物に到っては自分で機織を買った。どうしてもほしかったと言う。30年前には機織を買うためにフライドチキン店で働いた。40歳の時だ。その時はユニホームの短めのスカートをはくのが嫌で、社員さんに交渉して男性用のズボンにしてもらったというエピソードを話してくれた。スラッとした抜群のスタイル。社員さんも断れなかったに違いない。「どこで働くにしても楽しくなくちゃ!」と自分流を作れる人だ。空気を読む力が高いのだと思う。元気のない同僚には何気なく声をかける。人生経験豊富だからこそ、出来る業だろう。

飲食店では勤続7年目に入る。小巌さんはいつも次から次へと仕事を探している。なかなか、出来ることではないと感心する。動きも機敏でテキパキしている。どう見ても71歳には見えない。

何だかんだ言っても71歳という歳を考えて、果たして私は71歳の時に小巌さんのような動きが出来るだろうか?と考えてしまった。

夫を癌で亡くした小巌さん自身も膀胱癌になった。3年前のことだ。早期発見だったこともあり、現在は完治に向かって年1回の定期健診に通っている。

そんな小巌さんだからこそ、いつも私に「体が資本。健康が一番!」と声高らかに言う。「健康に気遣っていても病気になってしまうこともある。日頃から自分を知ることが大事」だと。自分が癌だと告げられた時、青天の霹靂だったと言った。「まさか、自分が?」と思ったそうだ。小巌さんのすごいところは、そこから、やり直せるところだと思う。今までの生活を見直し、身体に良いことを選んで継続していくところだ。週末のパートには必ず、自転車を漕いで来る。坂道の多いこの町は自転車通勤には少し、キツイ。しかし、ハツラツと漕いで来る。私服はとてもオシャレで華やかだ。楽しく暮らすために、毎月1回、美容院に通い、週1回のテニスに行く。また、気の合う仲間達との会食も必ず参加する。心と身体が健康であるためにいろいろな意味でオシャレでいたいと小巌さんは言う。そんな小巌さんをアルバイトの若者たちは「小巌さんに元気をもらっています!」と口を揃える。

「継続は力なり」小巌さんの大好きな言葉だと言う。「継続は力なり」を地で行く小巌さんのこれからを見守って行きたいと考えている。

【公式テキストp8「健康とは何か」】

 


田畑 昌子(たばた・ あつこ)


 

神奈川県鎌倉市生まれ。国学院大学文学部国文科を卒業後、大学助手、高校教諭を経て、
テレビ朝日に入社。学生時代に学んだ演劇に関する知識や技能を基にリサーチャーとし
番組制作に携わる。
現在は、飲食店経営、健康食品事業、
衛生環境整備事業と精力的に活動。

 


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