唾液がなくなるとむし歯になる?

 

口の中にものが入ると口の中は酸性に傾きます。唾液には酸性に傾いたお口の中を中性に戻す力があります。中性に戻す力を唾液緩衝能と言って緩衝能が強いほどむし歯にはなりにくくなります。

 

自然治癒? なくてはならない唾液の役目

安静時の唾液の量はどのくらいだと思いますか?正解はたったの1ccです。そのため口の中に砂糖でできた食品を食べたり飲んだりすると途端に口の中は酸性に傾きます。PHは何と5.5以下まで下がります。どのくらいの酸性度だと思いますか?・・・酸性雨と同じくらいです。

唾液が無くなるとどうなるでしょう?
口腔癌等で頭頸部に放射線治療すると唾液腺に障害が出る事があります。そうすると唾液が出なくなり口の中が乾燥します。口の中にものが入ってもなかなか中性に戻らないので数か月で多数の歯にむし歯ができます。

歯の表面は脱灰(歯が溶ける)再石灰化(再修復)を繰り返しています。唾液はこの再石灰化に必要なカルシウム分を歯の表面に運ぶ働きがあります。唾液が少なくなれば再石灰化をする力が少なくなりますからむし歯になりやすくなります。唾液にはむし歯を自然誌治癒する力があるのです。

 

 

ダイエットと薬、唾液が出なくなるとどうなる?

薬の中には唾液量を減少させる副作用のあるものがあります。以前むし歯が1本もなかった子どもが、短期間でむし歯が多数歯にわたりできたことがあります。ぜんそくで処方された薬が糖衣錠で、唾液が減少し、乳糖が長い間停滞したのが原因でした。

私の患者さんでプロのボクサーがいて、日本タイトル挑戦を控え減量に苦しんでいました。そんなときに歯が痛いと言って診療室を訪れました。減量で唾液が減り、さらに砂糖のガムを常時噛んでいため、むし歯が早く進行したのが原因でした。

唾液が減少して口の中が乾燥すると味覚障害がおこります。食品が溶けにくくなるということは食物の味がしなくなるということです。さらに味を感じる味雷という器官が委縮してしまいます。よってさらに味がしなくなるという悪循環が生まれます。

むし歯だけでなく、歯周病予防にも唾液は重要ですので、唾液がきちんと出ているか、時々チェックしてみましょう。

 

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小池 匠(こいけ・たくみ)

歯科医師/こいけ歯科医院院長

鶴見大学歯学部卒業後、日本大学歯学部で新人研修、川崎市中原区で開業中。
フィンランドトゥルク大学歯学部 国際予防歯科研究所IIPD終了。
青山大学文学部にて教育学で学士取得、早稲田大学大学院スポーツ医歯学分野で修士取得。
NPO法人アジア母子福祉協会常務理事。柔道4段。

 


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