摂取量と消費量のバランスを考えて、勘違いの食べ過ぎに注意!

「消化器内科医で産業医の勝木美佐子です。健康維持の重要さを痛感し、大学院では公衆衛生学を専攻しました。
臨床医として、また産業医として、外来診療や各事業所の職場などから、ちょっとした気付きをお話したいと思います」

屋外で仕事をしている男性たちが、「俺たち、力仕事だからね」と毎日ボリュームたっぷりのランチを食べています。本当に力仕事かな?そのランチで大丈夫? 皆さん、しっかりメタボ予防群なのです。

 

味噌汁代わりに毎日カップ麺?

皆さんは普段お昼ご飯にどんな物を食べていますか? 産業医として様々な職場を巡視していますが、時々ビックリするような事に出会います。

先日、ある職場の休憩室での事。職場巡視を終えて一休みしていたところ、屋外で重機操作をする運転手の皆さんもお昼休みで、ランチタイムでした。私も含め、働く人間にとって『憩いの象徴』であり『大きな楽しみ』ですよね。ところが何とは無しに手元に目をやると、皆さん食事の量が驚くほど多い! ほとんどの方がボリューム弁当に加え、味噌汁代わりにカップラーメンをすすっています。さらに、食後に甘い缶コーヒーを飲むと…、メタボになるのは当たり前です。

食品店にずらりと並ぶカップ麺。カロリー表示を確認しましょう

 

厚生労働省によると成人男性の一日の必要カロリー摂取量は、40代 だとすると約2300kcal (注:2015年度から指標はカロリーから身長と体重から算出するBMI数値に変更になりました)です。
しかし、この食事の量では、昼ご飯だけで1日の摂取量のほとんどを摂ったことになります。  「それではカロリーオーバーになりますよ」と思わず声を掛けました。すると「先生、俺たち力仕事だからね、たくさん食べないと体がもたないんだよ、あんなに重い物を運んでるんだから」との返答。(そうか、確かに重い物を運んで…、待ってください、運んでいるのは機械であって、皆さんの活動量(消費量)は少ないはず)。しかし、重労働だから量が多くて味の濃い、いわゆる『メタ飯』を食べても大丈夫だと思い込んでいる様子。よく見れば立派なメタボ体型になっています。

 

内臓脂肪の解消はほんのちょっとの食事量の加減です

『メタボリックシンドローム』は複数の病気や異常(肥満・高血圧・糖尿病・脂質異常症)が重なっている状態を表わします。この状態は脳卒中や心筋梗塞などの心血管系疾患の発症の原因となる動脈硬化を促進させます。

内蔵脂肪を減らすには、「運動によるエネルギー消費」と「食事量による摂取エネルギー抑制」の両方をバランス良く実行していく事がなによりも大切です。

今回のみなさんは思った程の身体活動量(運動量)ではないのに、もっと食べても大丈夫と思い込んでいました。内臓脂肪の蓄積は「もしかしたら・・・」の気づきが大切です。

 

40代男性の1日に必要なカロリー摂取量2300kcal

弁当 1100kcal + カップ麺 580kcal + 缶コーヒー 200kcal

昼食の合計摂取量 1880kcal

残り420kalで朝食と夕食?

                                                                                                                

産業医の役目は働く人々の心身の健康を守ること

さて、前述のように産業医は職場巡視で、働く皆さんの様子を直接拝見してアドバイスをしています。産業医が臨床医と異なる点としては「事業場において労働者が健康で快適な作業環境のもとで仕事が行えるよう、専門的立場から指導・助言を行う」ということです。
このように、私たちは産業医学の実践者として、産業保健の理念や労働衛生に関する専門的知識を持ち、労働者の健康障害を予防すると共に、心身の健康を保持増進することを目指した活動を遂行する任務があります。

何かしらの病気を発症してから治療するのでなく、出来れば普段の生活から意識的に「健康であることを維持する」事に気を配り、何か気になる事があれば、皆さんの健康状態のご相談を受けたり助言をしています。
もっと身近な存在であるためにも、我々、産業医を上手に活用してください。

産業医とは(日本医師会)http://jmaqc.jp/sang/occupational_physician/

【健検公式テキスト参照p26~】

 


勝木美佐子 (かつき・みさこ)

医学博士/産業医/労働衛生コンサルタント
日本大学医学部兼任講師、日本医師会認定産業医、日本医師会認定健康スポーツ医、日本人間ドック学会社員、日本公衆衛生学会評議員、日本産業衛生学会指導医、人間ドック健診専門医・指導医他、複数の学会で座長も務める。臨床医として診療活動と共に、産業医の経験も豊富。2016年産業医事務所を開業する。


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