辻ウェルネスクッキングあべのハルカス校校長 辻ヒロミ先生の連載コラム『家族の健康は家庭料理から』Vol.2
その便利さ、栄養バランスは大丈夫?
中食・外食と上手につき合うコツ「足し算の食生活」

こんにちは、大阪で料理講師をしている管理栄養士・調理師の辻ヒロミです。
このコラムでは、“家族の健康は家庭料理から”をモットーに100年以上の歴史を持つ料理家系の5代目として、日々の食事でできる健康づくりをお伝えしていきます。
「忙しい」は罪悪感ではなく、賢い戦略
「忙しくてお惣菜やレトルトに頼ってしまう…」「外食が続いてしまう…」そんな罪悪感を抱く必要はありません。ライフスタイルに合わせて中食や外食を活用するのは、食生活を無理なく続けるための賢い戦略です。
ただ、便利さゆえに栄養バランスが偏りやすいのも事実です。厚生労働省の『令和5年 国民健康・栄養調査』でも、20歳以上の野菜摂取量は減少傾向にあり、不足が懸念されています。中食や外食は塩分や脂質がしっかり含まれる一方、野菜に含まれるビタミン、ミネラル、食物繊維は不足しがち。そこに「足りないものを補う」という視点を加えるだけで、食卓はぐっと健康的に変わります。
梅雨の「だるさ」を整える、ボーンブロススープ
じめじめとした梅雨の時期、季節の変化で自律神経が乱れ、身体が重だるく感じていませんか?そんな時こそ、温かいスープの出番です。内臓を温めることは副交感神経を優位にし、高ぶった神経を落ち着かせる助けになります。
おすすめしたいのが、骨付き肉と野菜を煮込んで作る「ボーンブロス」。骨や皮からゼラチンやアミノ酸、うま味成分が溶け出したスープは、栄養を効率よく摂取できます。
プロが教える・基本の作り方と「味変」バリエーション
下処理をした鶏肉と大きめに切った野菜を鍋に入れ、
天然塩と具材がかぶる程度の水、少量の酒を注ぎ、
弱火で30分〜1時間コトコト煮る。放っておくだけで、作り置きにもおすすめです。
【おいしく作る2つのポイント】
- 肉のドリップをペーパーでしっかり拭き取る(臭みを抑える最重要工程!)
- 湧き出たアクを丁寧にすくい取る
ベースさえあれば、その日の気分で和・洋・中に自在にアレンジ可能です。
- 【和】生姜や梅干しでさっぱり
- 【洋】トマトやコンソメ、ハーブを加え、仕上げにオリーブオイルで満足感UP
- 【中】胡椒、お酢、ごま油で、酸辣湯風にも
完璧を目指さない「足し算の食生活」を
中食や外食の便利さで「手間」を減らし、おうちのスープで「栄養」を足す。そんな上手な足し算と引き算の視点で、季節の変化にも負けない、しなやかな体づくりを始めてみませんか。完璧な手作りを目指さなくても大丈夫。まずは、一杯のスープからはじめてみましょう。
【参考・引用文献】
- 厚生労働省『令和5年 国民健康・栄養調査結果の概要』
- 文部科学省『日本食品標準成分表2020年版(八訂)』
- 厚生労働省『日本人の食事摂取基準(2025年版)』
- 農林水産省『食事バランスガイド』
辻ヒロミ(つじ・ひろみ)

管理栄養士、調理師/辻ウェルネスクッキングあべのハルカス校校長。
家庭料理からフレンチ、宇宙食まで研究開発を行う。テレビ出演も多く、BSイレブンで放映した「ヘレンケラーが愛した日本」では、祖父がヘレンケラーをもてなしたブルーバードディナーを再現し、話題となる。
また、「世界に通用する宇宙食」でNBKニュービジネスアワード2019優秀賞を受賞。2016年から「世界親と子のクッキング大賞」常任審査員就任。その他、レシピ開発・監修、多くの料理コンテストの審査員歴任。
2025大阪関西万博では、オーストラリア館の特別イベントにてガストロノミークッキングシェフを務める。

