「⼥性として健やかに⽣きるためのヘルスリテラシー」
まじめなフェムケアの話① ⾻盤底筋(こつばんていきん)
フェムケア(Femcare)とは、⼥性特有の健康やライフスタイルに関する問題を解決するための製品やサービスを指す⾔葉として⽣まれましたが、昨今は⽉経関連や更年期の症状などエビデンスに基づいた正しい知識を得ることもフェムケアとして注⽬されています。
欧⽶諸国では産前産後の⾻盤底筋ケアが社会保険で広くカバーされています。「⾻盤底筋先進国」のフランスではペリネケアが費⽤は100%保険適⽤されておりリハビリ施設も⼀般的に普及しています。
⼀⼈の⼥性に戻す⼿助けになるということ、産後ケアは⾃分の⼼と⾝体を⾒直すきっかけになるという⽬的がペリネケアの根幹になっています。
ただ、それだけの⼿厚いケアを受けても出産直後のママや40〜50代の⼥性が尿もれを訴えることが多いのは他の国と変わりません。産後にペリネのリハビリを受けた⼈では、短期的な尿もれの発⽣は低いという報告はあるものの、⻑期的な調査報告はなし。
⾻盤底筋だけを強化するリハビリ法やペリネケアに⻑期的な効果があるかどうかは不明という状況です。
それは⽇本も同じ、いえ、ペリネケアが遅れている我が国ではもっと真剣にまじめに考えるべきでしょう。
健康運動指導⼠として、多くの⼥性に寄り添ってきた感触を正直に申し上げるとするなら「⾻盤底筋だけの強化トレーニングも場合によっては必要だけど、⽇常の適度な全⾝運動で⾻盤底筋をしなやかに強くすることができる」ということです。
姿勢や呼吸、⽇常の動き、強すぎない腹筋運動など、ちょっとした動作を⾒直すだけで、未来で起こるかもしれない不快な症状の予防につながります。
【⾻盤底筋の位置】
体幹の⼤⿊柱で、横隔膜・腹横筋・多裂筋といった深層筋の⼟台になってインナーユニットを形成しています。
【⾻盤底筋の位置と役割】
尿もれ・便失禁の予防・内蔵を良い位置に保つ・腹圧のコントロール
友⼈の薬剤師が⾔いました。
「尿失禁を治したいから⾻盤底筋を強化する薬を出してくれと患者さんは⾔います。でも、そんな薬はどこにもないのですよ。だって筋の集合体ですから…」
そうなのです、筋は⾃分の動きでしか育っていかないのです。つまり運動ということです。
まじめなフェムケア②では「⾻盤底筋を意識した呼吸法と、かんたん全⾝運動」をお伝えします。
【引⽤⽂献】
1)東京都健康⻑寿医療センター12.7 尿失禁予防運動指導ガイド 介護予防主任運動指導員養成講座テキスト(第4版)社会保険出版社、東京 434-451,2020
2)JSPO ⽇本スポーツ協会「健幸華齢のためのスマートライフ」サンライフ出版
3)J-Stage「総説:尿失禁対策としての⾻盤底筋運動の実際」2022年71巻3号
4)「⾻盤底筋のためのスマートなエクササイズと正しい腹式呼吸法」
【執筆者:naturally代表 南⽅和美】
1967 年⽣まれ。健康運動指導⼠・メディカルトレーナー。整形外科併設メディカルフィットネスで多くの患者の運動療法を担当したのち独⽴。2018 年に健康経営コンサルティングnaturallyを起業し、現在は企業・⾏政・医療機関で社員研修および運動療法プログラマーとして健康増進の⽀援活動を展開している。
4⼈の孫がいる正真正銘のおばぁちゃん。趣味は和包丁研ぎ。