辻ウェルネスクッキングあべのハルカス校校長 辻ヒロミ先生の連載コラム『家族の健康は家庭料理から』Vol.3
夏本番に備える!暑さで乱れやすい食事バランスを立て直す調理学
〜胃腸を労わりながら、定番の「冷たい麺類」を美味しく簡単アレンジ〜

いよいよ夏本番を迎える7月。近年の猛暑の中では、熱中症を防ぐためにエアコンを上手に使い、冷たい水分を摂ることは絶対に必要不可欠です。
ですが、その一方で食卓にはうどんやそば、そうめんといった「冷たい麺類」が増える季節。手軽で夏の救世主である麺類ですが、ここに夏バテの大きなワナが潜んでいます。今回は、暑い夏を賢く乗り切るための「引き算と足し算の調理学」をお届けします。
食べているのに元気が出ない?夏の「さっぱり食」の盲点
胃腸が冷えると血流が低下し、消化や吸収の働きが鈍くなることがあります。特に冷たい飲食物の摂りすぎには注意しましょう。
この状態で炭水化物中心の冷たい麺類ばかりをツルツルと流し込むと、体力を維持するための「タンパク質」や微量ミネラルが不足し、重だるい夏バテを引き起こす原因になってしまいます。中食や外食のさっぱりメニューに頼るときも同様です。
そこで、「ごちそう足し算麺」の出番です。お好みの麺をサッと茹でたら、プロがおいしく仕上げる最大のポイント麺磨き。麺のアクとぬめりを冷水で一気にもみ洗いし、流してキリッと締めることで、喉越しも香りも格段にアップします。
*温冷すべて麺磨きがポイント
臭みを旨味に変える!薬味とお魚缶詰の「マリアージュ」
簡単に「タンパク質」が補える、お好みのサバ缶やイワシ缶、ちくわ、しらすがおすすめ。包丁もほとんど使わないのに、簡単な一皿に早変わりします。
缶詰を一度耐熱容器に移し、電子レンジや鍋で軽く加熱してから使用するのがおすすめです。熱によって魚の揮発性の臭みが飛び、旨味がグッと引き締まります。
ここに生姜や大葉、みょうがといった薬味や、梅干し、トマトなど夏野菜や油を加えれば完璧です。薬味には、お魚の臭みを中和するだけでなく、 個性の違う食材同士が薬味という架け橋によって調和し、口の中で一体となって美味しさが広がります。
麺が茹で上がったら、乗せるだけ。缶詰もそのままで十分美味しく食べられますが、「やっぱり生臭い匂いが気になる……」という方は、ぜひ加熱や薬味を合わせてみてください。
買い物不要のセルフケア。栄養欠乏を防ぐローリングストック法
夏は外に買い物へ行くだけでもしんどいもの。「今日はもう暑いし、1食抜かしてスキップしてしまおうかな……」と思ってしまう日もありますよね。そんな時こそ、おうちに魚の缶詰のようにストックできる食材があれば、買い出しの手間を引き算しながら、大切なタンパク質を補うことができますよね。
完璧な手作りを目指さなくても大丈夫。市販のストックを賢く使い、薬味の力で胃腸を労わる。がんばりすぎないしなやかな工夫で、この夏を元気に乗り切っていきませんか。
【参考・引用文献】
『日本食品標準成分表2020年版(八訂)』文部科学省
『令和元年 国民健康・栄養調査報告』厚生労働省
『日本人の食事摂取基準(2025年版)』厚生労働省
辻ヒロミ(つじ・ひろみ)

管理栄養士、調理師/辻ウェルネスクッキングあべのハルカス校校長。
家庭料理からフレンチ、宇宙食まで研究開発を行う。テレビ出演も多く、BSイレブンで放映した「ヘレンケラーが愛した日本」では、祖父がヘレンケラーをもてなしたブルーバードディナーを再現し、話題となる。
また、「世界に通用する宇宙食」でNBKニュービジネスアワード2019優秀賞を受賞。2016年から「世界親と子のクッキング大賞」常任審査員就任。その他、レシピ開発・監修、多くの料理コンテストの審査員歴任。
2025大阪関西万博では、オーストラリア館の特別イベントにてガストロノミークッキングシェフを務める。

