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身体活動・運動不足は日本人の死亡要因第3位

実際の医療現場に従事されている皆さまに執筆いただき、健康に役立つコラムを展開しています。コラムカテゴリは健康マスター検定の公式テキストカテゴリーに揃えています。
公式テキストと照らしあわせていただくことで、幅広い学習をしていただけます

身体活動・運動不足は日本人の死亡要因第3位

 

身体不活動は全世界の死亡に対する危険因子の第4位であることはご存知でしょうか?ちなみに1位は高血圧、2位は喫煙、3位は高血糖です。死亡に対する危険因子の1位から3位と比較して、4位の身体不活動に対する意識は低いのではないでしょうか。今回、身体不活動が原因して生じる廃用(はいよう)症候群(生活不活発病)を紹介します。
※日本では1位 喫煙、2位 高血圧、3位 運動不足です。

 

廃用(はいよう)症候群(生活不活発病)の原因と症状は?

廃用症候群(生活不活発病)とは、過度に体を動かさないことによる心身機能低下の総称です。廃用症候群は生活不活発病ともいわれるものです。高齢者や入院患者に多く見られますが、誰にでも簡単に起こり得るものです。
若い方でも持っている機能を使わないと簡単に心身機能は低下します。普段健康な方でも風邪を拗らせて2、3日寝込んでいるだけでも、あっという間に体力の低下が生じて、立ち上がろうとするとふらついたり、疲れやすかったりする経験をお持ちだと思います。

しかしながら、私たちの心がけ次第で、身体不活動による廃用症候群(生活不活発病)は予防・改善可能性があるといえます。

主な症状は以下の通りです。

  1. 関節拘縮(こうしゅく):関節が固くなり、関節の柔軟性が低下する
  2. 筋萎縮:筋肉が痩せて、筋力が低下する
  3. 骨萎縮:骨がもろくなる
  4. 心肺機能の低下:軽い運動で息切れや動悸が起きる
  5. 消化機能の低下:便秘
  6. 精神機能低下:うつ傾向
    ほぼ全身に影響するといっても過言ではありません。

 

身体活動を増やして予防

身体活動は運動と生活活動の2つに分けることができます。運動とは体力の維持・向上を目的として計画的・意図的に実施するものを言います。具体的には余暇時間にウォーキングやスポーツを行うことです。それに対して、生活活動とは運動以外のものをいい、職業や家事活動上のものも含まれます。具体的には買い物や洗濯物を干す、通勤時の歩行や階段昇降などの移動が含まれます。
身体活動を少しでも向上させるには、個々のライフスタイルに応じて、方法や手段は異なります。
運動として手軽にできるものとして、ウォーキングや水泳をお勧めします。徐々に時間や距離を伸ばして、運動習慣を身に着けることは重要です。しかしながら家事や仕事で忙しい方は生活活動に目を向ける必要があります。買い物や通勤で歩く、エレベーターを使わずに階段を使用するなどの生活活動を活発にする方法がよいでしょう。

また仮に病気やけがをされた場合、医師に確認の上で、安静は必要最低限に留めて、過度に安静を取らないことが重要です。例えば骨折した場合を例に挙げると、折れた箇所は安静にする必要があっても、それ以外の関節や筋肉を動かすことは廃用症候群(生活不活発病)を予防するために非常に重要なことです。運動をしたことがない方でも、運動を始めるのは今からでも遅くはありません。身体活動を向上して、廃用症候群(生活不活発病)を予防しましょう!

 

日本健康マスター検定公式テキスト p66「身体活動・運動不足は日本人の死因要因第3位」】

 


飛永 敬志(とびなが たかし)

理学療法士/鍼灸・あん摩マッサージ指圧師/介護支援専門員
早稲田大学大学院スポーツ科学研究科(介護予防マネージメントコース)卒業。獨協医科大学越谷病院リハビリテーションセンター副主任、早稲田大学大学院エルダリー・ヘルス研究所招聘研究員。専門理学療法士(運動器)として、主に運動器疾患を有する患者の身体機能とQOLの向上を目指して、臨床・教育・研究に従事。学会発表・論文投稿多数。趣味はマラソン