MENU

CLOSE

若年期から知っておきたい「ロコモ」のこと

実際の医療現場に従事されている皆さまに執筆いただき、健康に役立つコラムを展開しています。コラムカテゴリは健康マスター検定の公式テキストカテゴリーに揃えています。
公式テキストと照らしあわせていただくことで、幅広い学習をしていただけます

若年期から知っておきたい「ロコモ」のこと

 

「ロコモ」って、ご存知ですか?現在のところ、「メタボ」よりも認知度は低いのではないでしょうか?ロコモはメタボや認知症と並んで、健康寿命を短くする、要介護の危険因子の一つです。病院でリハビリを担当する膝・腰に障害を有する高齢患者の多くがロコモに該当すると言っても過言ではありません。今回のコラムではロコモについて、紹介します。

 

ロコモ=ロコモティブシンドロームとは?

ロコモとはロコモティブシンドロームの略で、運動器症候群とも言われており、運動器の障害による要介護の状態及び、要介護リスクの高い状態をさします。
具体的には立つことや歩くといった移動能力の低下をきたした状態です。
運動器とは骨、関節、靭帯、筋肉、神経などで構成されています。多くの組織・器官が運動を構成しており、それぞれが役割を果たすことで運動が成立しています。運動器の各組織・器管のいずれかが障害されても、身体はうまく動かなくなります。例えば骨がもろくなる病気の骨粗鬆症(こつそしょうしょう)、膝関節の軟骨に障害が生じておきる変形性膝関節症など、どれをとってもロコモの原因となりえます。

 

運動器の障害は介護の要因です

日本の最新の平均寿命は男性で80.79歳、女性で87.05歳と年々伸びています。健康寿命とは健康で日常的に介護を必要としない自立した生活ができる生存期間の事で、平均寿命と比較して約10年間短いことが言われています。(公式テキストp13参照)
また介護保険における要支援者の原因を見ると、関節疾患(膝や腰が痛い)が1位で20.7%、骨折・転倒が14.6%で、それらを合わせると要支援の全体の1/3が運動器障害によるものです。要支援者を増やさないためには運動器障害を未然に予防していく必要があります。
長い人生をより健康でいきいきとした生活を継続して送るためには、運動器の機能をいかに維持・向上するかが重要になります。

 

要支援・要介護が必要となった主な原因(上位3位)

第1位                   第2位                                    第3位

要支援者 ・関節疾患 20.70% ・高齢による衰弱   15.40%   ・骨折・転倒 14.60%

要介護者 ・脳血管疾患(脳卒中) 21.70% ・認知症  21.40% ・高齢による衰弱 12.60%

「平成25年国民生活基礎調査より引用」

 

ロコチェック

こんな症状が思い当たりませんか?

1)片脚立ちで靴下がはけない

2)家の中でつまずいたり滑ったりする

3)階段を上るのに手すりが必要である

4)横断歩道を青信号で渡りきれない

5)15分くらい続けて歩けない

6)2kg程度の買い物(1リットルの牛乳パック2個程度)をして持ち帰るのが困難である

7)家の中のやや重い仕事(掃除機の使用、布団の上げ下ろしなど)が困難である

上記の7つの項目のうちひとつでも当てはまればロコモが疑われます。

 

 

皆様の結果はいかがでしたか?ロコチェックは主にバランス能力や筋力や移動能力をチェックしています。運動器は使わないと加齢とともに徐々に低下していきます。特に移動能力に対して、筋力やバランス能力は非常に重要です。いつまでも自分の足で立てるように、歩けるように若いうちからロコモを予防しましょう。

次回はロコモを予防するためのトレーニング(ロコトレ)をお伝えします。

 

日本健康マスター検定公式テキスト  p100「ロコモとはどんな状態か」】

 


飛永 敬志(とびなが たかし)

理学療法士/鍼灸・あん摩マッサージ指圧師/介護支援専門員
早稲田大学大学院スポーツ科学研究科(介護予防マネージメントコース)卒業。獨協医科大学越谷病院リハビリテーションセンター副主任、早稲田大学大学院エルダリー・ヘルス研究所招聘研究員。専門理学療法士(運動器)として、主に運動器疾患を有する患者の身体機能とQOLの向上を目指して、臨床・教育・研究に従事。学会発表・論文投稿多数。趣味はマラソン