何かしらの病気になる前の若いころから健康管理をすることで、生活に制限のない健康寿命をのばして介護が必要な時期を先延ばししたいですね。意外と知られていないことですが健康寿命の測定方法はアンケート調査です。皆さんはどのように回答しますか?
健康寿命を知る
健康寿命とは「日常生活に制限のない期間」を指します。
年々健康寿命は延伸していますが、2016年の平均寿命と健康寿命の差は男性8.84年、女性12.35年あります。令和元年の「健康寿命延伸プラン」では、2040年までに男女ともに健康寿命を2016年の平均より3年以上延伸し75歳以上とすることを目指しています。
健康寿命の測定方法
測定方法は「日本人人口と死亡数を用いて、生命表を算出したうえで、不健康割合を用いて、不健康な期間を削ることで、健康寿命を算出している。」となっています。
・日本人人口:国勢調査、推計人口、住民基本台帳人口
・死亡数:人口動態統計
・不健康割合:3年毎の国民生活基礎調査
<国民生活基礎調査・健康票調査の実施系統>
アンケート調査の質問項目は、次のとおりです。
<国民生活基礎調査・健康票における質問項目>
問1.あなたは現在、健康上の問題で日常生活に何か影響がありますか?
(1)ある
(2)いいえ
いいえと答えた場合、日常生活に制限なしと定め、性・年齢階級別の日常生活に制限のない者の割合を求める。
問2.あなたの現在の健康状態はいかがですか?
(1)よい
(2)まあよい
(3)ふつう
(4)あまりよくない
(5)よくない
よい、まあよい、ふつうの回答を自分で健康であると自覚していると定める。
ここでの問題点としては、以下のとおりです。
・不健康割合を算出させる指標は、あくまでも世帯にいる国民が対象で、単身赴任者や収監者、長期入院や施設入所している国民は対象とされていません。そのため、地域により病院数や施設数の誤差が出来、確実な数値が算出しづらいと思われます。
・主観的な内容であり、個人の感じ方により回答に偏りが出てしまう。
・生活基礎調査の捕捉率は持ち家や、賃貸、共同住宅、20~30代の賃貸住宅などの分布により偏りが出ている。
・あくまでその一時点のアンケートであり、日常生活に制限があると判断したのがその時だけなのか、継続的なのか不十分である。
都道府県別の健康寿命
都道府県別の健康寿命を見ても、変動が大きいのがわかります。実際に健康寿命が伸びたのか、不健康割合の変動があったのか、国民生活基礎調査の捕捉率の変動があったのかわからないため、確実な指標を求めるために、現在も試行錯誤を繰り返している段階であるともいえます。
【参照ホームページ】
・厚生労働省HP:「健康寿命の都道府県格差の縮小について」資料2
・厚生労働省HP:「健康寿命と平均寿命の推移」
・厚生労働省HP:「国民生活基礎調査 調査の方法」
【日本健康マスター検定公式テキスト増補改訂第2版 p15「現代日本人の健康事情」より】
田中 亮 (たなか りょう)
看護師/介護福祉士/認知症ケア専門士
健康マスター普及認定講師推進リーダー ・メディカル会代表。埼玉県内の総合病院に勤務の傍ら、最新の医学論文を読み解き、日々facebookを中心に健康情報を発信中。フレンド登録数は4000人を超えている。