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骨の健康(第1回) 女性の骨量は閉経後に減りやすい

実際の医療現場に従事されている皆さまに執筆いただき、健康に役立つコラムを展開しています。コラムカテゴリは健康マスター検定の公式テキストカテゴリーに揃えています。
公式テキストと照らしあわせていただくことで、幅広い学習をしていただけます

骨の健康(第1回) 女性の骨量は閉経後に減りやすい

骨…というと「身体を支えているもの」という程度で、あまり意識している人は少ないのではないでしょうか? でも、その骨の健康が、健康寿命延伸にはとても重要なポイントになってくるのです。今回は、骨の健康のキモでもある骨粗鬆症について触れてみたいと思います。

骨がスカスカ 骨粗鬆症とは・・・

腰痛がなかなか治らずに整形外科を受診した50歳代の女性が、検査をしてみると「腰椎圧迫骨折」を起こしていたというケースがありました。それも3カ所。骨粗鬆症が原因と考えられ、コルセットによる固定と食事・運動療法、薬物による治療が行われました。その方は若い頃からスリムな体型を維持するために、かなり無理なダイエットを繰り返していたとのことで、「歳を取ってからこんなことになるなんて」と後悔されていました。
この骨粗鬆症。いったい何かというと、骨がスカスカになって、骨折を起こしやすくなる病気のことを言います。
骨は一度作られたらそれで終わりというわけではなく、性ホルモンなどの働きで古くなった骨を壊しながら、新しい骨をつくるという骨代謝を繰り返しながら骨量を維持しています。
しかし、女性の場合は閉経による女性ホルモン(エストロゲン)の急激な分泌低下などで、骨代謝のバランスが崩れると骨量が減ってしまい、骨粗鬆症が起こりやすくなります。

 

骨粗鬆症は、女性が3倍多く、気づかないうちに進行

骨粗鬆症の患者数は、男性300万人に対し、女性980万人と女性の方が3倍多く、高齢化に伴ってその数は増加傾向にあります。
骨粗鬆症は自覚症状がほとんどありません。気づかないうちに進行し、転倒やくしゃみなどのわずかな衝撃から骨折を起こして、初めて骨粗鬆症に気づくこともあります。

 

■若いうちの骨の貯金で健康寿命に差が出る

骨量は女性の場合、20歳くらいがピークで、閉経を迎える50歳前後から低下していきます。
閉経後は減る一方ですから、若いうちにどれだけ貯金をしておけるかが重要となります。
前述した女性は、若い頃からの無理なダイエットで骨の貯金が少ない上に、閉経後の骨量の減少で、骨がスカスカになってしまって、身体を支え切れずに「腰椎圧迫骨折」を起こしてしまったと思われます。いかに20歳頃までにしっかり骨の貯金をして骨量を増やしておくかが大切ですので、若い頃の過度なダイエットには注意が必要です。

 

■運動不足や喫煙、生活習慣病も原因に

閉経以外にも加齢、運動不足、喫煙、過度の飲酒、糖尿病や慢性腎臓病などの生活習慣病も、骨粗鬆症を発症する可能性が高いと言われていますので、生活習慣の改善も重要です。
生活習慣の改善や食事の注意などで、骨量低下を緩やかにすることはできますので、中年期以降でも諦めないでください。日常生活での注意について、次回に触れたいと思います。

 

<参考・引用>

日本健康マスター検定公式テキスト:「第9章女性の健康」P196-197参照

骨粗鬆症の予防と治療のガイドライン2015年度

日本生活習慣病予防協会HP


石川 いづみ(いしかわ いづみ)

看護師/キャリアコンサルタント(国家資格)/産業カウンセラー

 

都内の赤十字病院に入職し、手術室、救急外来、内科病棟にて臨床看護を経験。その後、NHK健康保険組合に所属し、職員の健康管理や保健指導、健康診断の企画・運営に携わる。現在は自治体などでの健康セミナーを通して「健康リテラシー向上」の活動を行っている。