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骨の健康(第2回) 骨は常に新しく作り替えられている

実際の医療現場に従事されている皆さまに執筆いただき、健康に役立つコラムを展開しています。コラムカテゴリは健康マスター検定の公式テキストカテゴリーに揃えています。
公式テキストと照らしあわせていただくことで、幅広い学習をしていただけます

骨の健康(第2回) 骨は常に新しく作り替えられている

全身の骨は3年~5年のサイクルで、新しい骨に生まれ変わってるってご存じですか?
骨は古くなると弾力性や丈夫さが失われるので、生まれ変わってしなやかな強さを維持しているのです。今回は、そんな骨の仕組みについて触れてみたいと思います。

骨の新陳代謝~破骨細胞と骨芽細胞のバランス~

骨の中では「骨をこわす細胞(破骨細胞)」と「骨をつくる細胞(骨芽細胞)」が働いています。このふたつの細胞の働きで骨は生まれ変わっているのです。これが骨の新陳代謝で、「骨のリモデリング」といいます。健康な骨では、この細胞の働きのバランスがつり合っているので、骨の量は一定で、強度が維持されています。
ところが、年齢とともに体の持っている再生能力が衰えると、「骨をつくる」能力が落ちていきます。さらに、女性の場合は、閉経以降、破骨細胞の働きを抑制している女性ホルモン(エストロゲン)が減少するので、破骨細胞がどんどん骨をこわしてしまい、骨がスカスカになっていきます。

 

骨折しやすくなるのは骨量(骨密度)低下と骨質劣化

骨はカルシウムなどのミネラル類とたんぱく質の一種であるコラーゲンでできています。カルシウムなどの密度を骨密度といい、骨粗鬆症を調べるための検査として「骨密度検査」が広く行われていますが、同じ骨密度であっても、骨折する人もいれば、骨折しない人もいます。
実は、骨の強さは骨密度だけではなく、骨の性質を示す骨質も大きく関係しており、骨質はコラーゲンの質によって左右されます。

建物に例えるなら、骨密度はコンクリート、骨質は鉄筋

骨の構造としては、コラーゲンの束(コラーゲン繊維)が土台となり柱を作り、その周りにカルシウムなどのミネラルが付着して強度を与えています。
鉄筋コンクリートの建物に例えると、コラーゲンは鉄筋に当たり、カルシウムはコンクリートに当たります。建物を強くするには、コンクリートと鉄筋のどちらの強度も必要ですが、それと同じで骨を強くするには骨密度だけでなく、骨質も重要なのです。つまり、「骨密度+骨質=骨の強さ」ということになり、骨の強さは、70%が骨密度に、30%が骨質によるものといわれています。

体重が軽いと骨粗鬆症の危険度が高くなる

年齢と体重と骨密度との間には、密接な関係があり、年齢が上がり、体重が減少すると骨粗鬆症の危険度が上がります。「FOSTA(骨粗鬆症リスク評価ツール)」という計算式があり、骨粗鬆症の危険度を予測することができます。計算は簡単。体重から年齢を引き、0.2をかけます。
この値を使って骨粗鬆症の危険度を「高」、「中」、「低」の3つに分類します。
ご自身の危険度を把握しておきましょう。

<参考・引用>

骨粗鬆症の予防と治療のガイドライン2015年度
日本生活習慣病予防協会HP
きょうの健康NHK健康チャンネル骨粗鬆症関連
日本健康マスター検定公式テキスト:「第9章女性の健康」P196-197参照

 


石川 いづみ(いしかわ いづみ)

看護師/キャリアコンサルタント(国家資格)/産業カウンセラー

 

都内の赤十字病院に入職し、手術室、救急外来、内科病棟にて臨床看護を経験。その後、NHK健康保険組合に所属し、職員の健康管理や保健指導、健康診断の企画・運営に携わる。現在は自治体などでの健康セミナーを通して「健康リテラシー向上」の活動を行っている。