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骨の健康(第3回) 骨粗鬆症予防には運動・食事・太陽の光

実際の医療現場に従事されている皆さまに執筆いただき、健康に役立つコラムを展開しています。コラムカテゴリは健康マスター検定の公式テキストカテゴリーに揃えています。
公式テキストと照らしあわせていただくことで、幅広い学習をしていただけます

骨の健康(第3回) 骨粗鬆症予防には運動・食事・太陽の光

年齢とともに上がる骨粗鬆症の危険度。でも、諦めないでください。いくつになっても骨の健康は、改善が期待できます!そのポイントは運動(骨トレ)と食事と太陽の光です。最終回は骨の強度アップのコツについて触れてみます。

地面を踏みしめる運動(骨トレ)が効果的

骨は地面を踏みしめるような垂直方向の刺激(負荷)を加えることで、強度がアップします。骨に刺激を与えると、カルシウムが定着しやすくなったり、血流が良くなったり、骨をつくる細胞(骨芽細胞)の働きが活発になります。骨の強度アップのための骨トレは、階段の昇り降り、踵落とし、スクワットなどが効果的です。また、散歩の時は、歩幅を広く、しっかり足を上げ、リズミカルに歩くと、ご自身の体重で骨に負荷がかかり、骨の強度アップが期待できます。ただし、骨粗鬆症治療中の方や膝に痛みがある方は、イスに座ったままでの踵落としや足踏みなど無理のない方法で骨トレを行いましょう。

骨を強くする食事

私たちの体は、カルシウムが不足すると、骨を溶かしてカルシウムを補おうとしますので、食事から過不足なくカルシウムを摂取する必要があります。骨粗鬆症や骨折予防のためのカルシウム摂取推奨量は、1日700~800㎎と言われています。また、ビタミンDを併せて摂ることで、腸管でのカルシウム吸収率が上がり、ビタミンKの摂取で骨芽細胞の働きを高めます。さらに第2回でも触れましたが、コラーゲンが減少すると骨の鉄筋部分がもろくなるので、その材料であるタンパク質もしっかり摂りましょう。このように骨にはカルシウムと考えがちですが、それだけではなく、ビタミンやタンパク質などの栄養素をバランスよく摂ることが大切なのです。ぜひ偏らない食生活を心がけてみてください。

太陽の光でビタミンDが作られる

カルシウムの吸収率を上げるビタミンDは、体の中で作り出すことができます。私たちの皮膚は紫外線を浴びるとコレステロールを原料にビタミンDが生成されるため、適度な日光浴はとても重要です。その日光浴、窓ガラス越しでは紫外線がブロックされて効果が低くなるので、冬であれば1時間程度、夏であれば木陰で30分程度、戸外で過ごすと十分な量が得られます。ただし、紫外線の浴び過ぎによる弊害や最近の猛暑による熱中症の危険性も考慮すると、朝や夕方など比較的涼しい時間帯での散歩や、空調の効いている室内で寛ぎながら窓を開けての日光浴などもお勧めです。更に、日光浴で脳内に幸せホルモンといわれる神経伝達物質(セロトニン)が分泌されるので、気持ちが安定し、集中力ややる気がアップし、睡眠の質が向上するなどメンタル的にもポジティブな効果が期待できます。

日ごろから骨の健康を意識して、人生100年時代を楽しく、アクティブに過ごしましょう。

 

<参考・引用>
日本健康マスター検定公式テキスト:「第9章女性の健康」P196-197参照
骨粗鬆症の予防と治療のガイドライン2015年度
・NHK健康チャンネル
骨粗しょう症の治療 骨密度を増やす方法と効果的な運動のやり方 | NHK健康チャンネル
骨粗しょう症の予防と治療 骨を作るのに必要な栄養素と摂取法 | NHK健康チャンネル
骨粗鬆症の予防のための食生活 | e-ヘルスネット(厚生労働省) (mhlw.go.jp)


石川 いづみ(いしかわ いづみ)

看護師/キャリアコンサルタント(国家資格)/産業カウンセラー

 

都内の赤十字病院に入職し、手術室、救急外来、内科病棟にて臨床看護を経験。その後、NHK健康保険組合に所属し、職員の健康管理や保健指導、健康診断の企画・運営に携わる。現在は自治体などでの健康セミナーを通して「健康リテラシー向上」の活動を行っている。