メンタルヘルスは睡眠と朝の光が大切です
睡眠がとれないと心身に様々な不調が起きます。疲れが取れない、集中力や注意力が低下してミスをしやすくなる、イライラしてしまう、太りやすくなるなど支障をきたします。また睡眠がとれない状態が続くと、うつ病になりやすい事もわかっています。うつ病患者さんの回復や再発予防では、必ず睡眠習慣の改善を指導することもあり、メンタルを安定させるためには「睡眠」は重要です。
睡眠の問題は多くの人に関係している
国民健康・栄養調査(令和元年)によると20歳以上の男女の約8割が『睡眠』に何らかの問題があることがわかりました。その内訳は「日中眠気を感じた」「夜間途中で目が覚めて困った」「睡眠全体の質に満足できなかった」などです。
睡眠が不足すると食欲が高まり、肥満の原因になります。糖尿病、高血圧、脂質異常症と生活習慣病になり、動脈硬化、心臓病や脳卒中を発症するリスクが高まります。
また、日本の子どもは世界で一番眠れていないという問題もあり、大人だけでなく子どもにとっても大きな問題です。生活の夜型化から睡眠時間の減少につながると、成長の遅れや注意や集中力の低下、学力低下などに影響します。夏休み中は特に生活が乱れやすいです。睡眠習慣の改善ポイントは「早起きをして早寝に繋げること」です。
睡眠を改善するポイントは起床時間だった?
私たちの体には体内時計(時計遺伝子)があります。例えば、ご飯を3食食べたり、集中力を使う仕事をしたり、体を休めたり…。実はこれらの行動には、それぞれに適した時間があります。このリズムに逆らってしまうと体が不具合を起こすのです。
睡眠習慣の改善ポイントはたくさんありますが、今日は2つだけ。私たちの体は朝起きて太陽の光を浴びると、体が“朝だ!”と認識します。そして光を浴びてから14−16時間で眠くなるというリズムで体内時計が動いています。これに逆らってしまうと、日本にいながら、海外旅行に行った時の“時差ボケ状態”になってしまいます。
1つのポイントが、「起床時間を揃えること」です。起きたい時間に起きるのではなく、一定の時間を目指して起きましょう。寝坊は1時間程度にとどめます。
2つ目のポイントは「朝食を食べる」ことで体への“朝だ!”の合図がより強くなります。炭水化物とタンパク質(例:卵かけご飯や納豆ご飯など)の組み合わせをお勧めします。
「精神的に疲れたな。メンタルが不安定だな」と感じた時は、まずは睡眠の改善から始めてみませんか?
<参考・引用>
・NHK健康チャンネル
体内時計と健康の関係 朝食・昼食・夕食を食べるベストな時間とは? | NHK健康チャンネル
眠れないとうつ病になりやすい?不眠・睡眠不足と健康の関係 | NHK健康チャンネル
・厚生労働省 国民健康・栄養調査(令和元年)令和元年国民健康・栄養調査報告|厚生労働省 (mhlw.go.jp)
・e-ヘルスネット睡眠と生活習慣病との深い関係 | e-ヘルスネット(厚生労働省) (mhlw.go.jp)
・健康マスター検定公式テキストp126「睡眠の質が健康のカギ」
安倉 沙織(やすくら さおり)
看護師・保健師 / 健康運動指導士 / 一種衛生管理者
クリニック・健診センターに勤務後、大手企業健康管理室でメンタル・フィジカルに関する個別相談を1,000件以上担当する。現在、アンガーマネジメントファシリテーターやNLPマスタープラクティショナーなど資格を有し、あらゆる健康増進事業に携わり、講師活動や企業の健康管理・教育を進めている。