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ロコモを予防するためのロコトレ

実際の医療現場に従事されている皆さまに執筆いただき、健康に役立つコラムを展開しています。コラムカテゴリは健康マスター検定の公式テキストカテゴリーに揃えています。
公式テキストと照らしあわせていただくことで、幅広い学習をしていただけます

ロコモを予防するためのロコトレ

今回、ロコモを予防するためのトレーニング、ロコトレについて紹介します。
ロコトレとはロコモーショントレーニングの略で、2つの代表的な方法があります。1つ目はバランス能力を向上させるための「片脚立ち」、そして2つ目は下肢筋力をつけるための「スクワット」があります。この2つのロコトレは転倒予防や歩行能力を高めるために重要となる運動です。またロコトレは特別な道具も不要で、簡単に自宅で行えるトレーニングでもあります。

 

ロコトレ① バランス能力を向上させる「片脚立ち」

 

[方法]

  • 転倒しないように、必ずつかまるものがある場所で行いましょう。
  • 姿勢をまっすぐにしましょう。
  • 床につかない程度に片脚を上げます。
  • 支えが必要な人は、十分注意して、机に両手や片手をついて行います。

[回数]  左右1分間ずつ、1日3回行いましょう。

片脚立ちに影響する因子として、平衡機能、抗重力筋(重力に対して片脚立ち保持をするために働く筋肉)や下肢関節の柔軟性などが挙げられます。特に片脚立ちに関して、重要な筋肉は中殿筋(ちゅうでんきん)というお尻の外側にある筋肉です。また片脚立ちは視覚情報、体性感覚、小脳や大脳などの中枢神経なども関与し、多くの組織・器官が相互に関係しあってバランスが保持されます。したがって、片脚立ちは全身運動といっても過言ではありません。
歩くという動作は常に左右交互に片脚立ちを繰り返して移動することから、片脚立ちが安定すると歩行も安定して、さらに転倒予防に繋がります。バランス能力を向上させる効果以外にも、脚の骨に荷重ストレスが加わることによって、骨密度が改善して骨を丈夫にする効果も期待できます。加齢や筋力低下に伴って片脚起立時間は低下すると言われています。しかしながらロコトレを継続することで、改善する可能性は十分にあります。

ロコトレ② 下肢筋力をつける「スクワット」

 

[方法]

  • 肩幅より少し広めに足を広げて立ち、つま先は30度くらい開きます。
  • 膝がつま先より前に出ないように、また膝が足の人差し指の方向に向くように注意して、お尻を引くように身体を沈めます。

[回数]  深呼吸をするペースで、5〜6回繰り返します。1日3回行いましょう。

[ポイント]

  • 動作中は息を止めないようにします。
  • 膝に負担がかかり過ぎないように、膝は90度以上曲げないようにします。
  • 太ももの前や後ろの筋肉にしっかり力が入っているか、意識しながらゆっくり行いましょう。
  • 支えが必要な人は、十分注意して、机に手をついて行います。

スクワットは筋トレの王様とも言われますが、その効果は正しい方法で行わなければ効果は半減します。スクワットは多くの筋肉を鍛えることが可能です。大腿四頭筋(だいたいしとうきん)や大殿筋(だいでんきん)といった脚の筋力以外にも腹筋や背筋などの体幹筋の筋力をつける効果も期待できます。

スポーツを行うためのトレーニングだけでなく、良い姿勢を保持したり、立つことや歩くといった人間が生活する上で最低限必要となる基本的な動作や活動に必要となる筋力をつけることができます。

ロコトレは痛みを出さないで、転倒しないように行うように心掛けましょう。またロコモ予防は柔軟性を高めるストレッチングや身体活動量を高めるウォーキングを追加することで、効果はより一層上がります。
ロコモは若いうちから早めの予防が肝心です。そのためにはロコトレは運動習慣を身につけて継続することが大切です。

日本健康マスター検定公式テキスト p142「ロコトレで足腰を健康に」参照】


飛永 敬志(とびなが たかし)

理学療法士/鍼灸・あん摩マッサージ指圧師/介護支援専門員
早稲田大学大学院スポーツ科学研究科(介護予防マネージメントコース)卒業。獨協医科大学越谷病院リハビリテーションセンター副主任、早稲田大学大学院エルダリー・ヘルス研究所招聘研究員。専門理学療法士(運動器)として、主に運動器疾患を有する患者の身体機能とQOLの向上を目指して、臨床・教育・研究に従事。学会発表・論文投稿多数。趣味はマラソン