転倒予防の片足立ち、膝が伸びているか曲がっているか
皆様、お元気でいらっしゃいますか?リオ五輪まで一ヶ月を切りました。少しずつ五輪ムードが高まってきましたね。さて、今回も転倒予防関連の内容を続けます。転倒を予防するには「片足立ち」が重要なのです。
ヨガ「ツリーのポーズ」が得意でも膝を曲げた片足立ちは?
日本では、2000年前後からヨガがブームになりました。そのヨガの代表的なポーズに「ツリーのポーズ」という片足立ちのポーズがあります。このポーズが浸透したお陰もあり、膝を伸ばした状態での片足立ちが出来る人が増えたと認識しております。しかし、「ツリーのポーズ」が得意な人の弱点があります。それは・・・膝を曲げた状態での片足立ちです。片足立ち「ツリーのポーズ」は膝がのびています。
膝を曲げて片足立ちするとグラグラする?
膝を伸ばした状態と膝を曲げた状態では、使用する筋肉も異なりますし、安定させる関節も異なります。要するに、異なる能力が要求されるという事です。専門用語では、「関節角度の特異性」と言います。具体的には日常生活において、階段の下り動作で、膝を曲げた状態での片足立ちが要求されます。他には、立位で靴下を履く際も必要です。そうは言っても、いきなり片足立ちで膝の屈伸を行なうのはリスクが大きすぎます。まずは両足で安定した姿勢での膝の屈伸動作を考えてみましょう。
まずは、両足動作で屈伸になれましょう。トイレの便座姿勢や、座り方、睡眠姿勢を比較すれば分かるように、欧米型は、深く膝を曲げません。
項目/比較 | 欧米型 | 日本型 |
---|---|---|
睡眠 | ベッド | 布団 |
座位 | イス | 畳(正座、あぐら) |
膝関節 | 深く曲げない | 深く曲げる |
股関節 | 深く曲げない | 深く曲げる |
私が運動指導を担当しているお客様も、欧米型の生活に切り替えている方が圧倒的です。歴史と伝統は大事です。しかし、こと関節に関して言えば、欧米型の方が、関節に優しく、体力の低い人には、適していると言えます。
膝を曲げて片足立ちができるにはスクワットから
では、前述の「ツリーのポーズ」が出来るようになったら、何を加味すれば、弱点が補えるでしょうか?それは「スクワット」を加味するのです。柔道で言えば「合わせ技一本!」のように考えます。
スクワットのフォーム
スクワット動作の説明(写真のチューブは無くても大丈夫です)
- 肩幅か少し広めに足を開きます。
- 椅子に腰掛けるように、お尻を後方に引き、上半身は前傾します。
- 膝がつま先よりも、前に出ないように、股関節を大きく動かします。
- 10から15回くらい繰り返しましょう。
※膝とつま先は同じ方向に向けましょう。腰は丸くならないように注意です。
エクササイズに「これさえ行なっておけば間違いない!」という万能な種目はありません。そうは言っても、スクワットは「キングオブエクササイズ」と呼ばれ、最も優先する種目です。ぜひ、皆様の実践しているストレッチやラジオ体操などに「スクワット」を加えてみてください。相乗効果により、これまで以上の運動効果が得られると思います!次回は、真夏になると増える「ピンヒールにご用心!」を書いてみたいと思います。
【日本健康マスター検定公式テキスト p84~・ p142~】
大久保進哉(おおくぼ しんや)
パーソナルトレーナー/フィットネスプロダクト代表
1972年横浜市生まれ。日本トレーニング指導者協会上級トレーニング指導者
運動の問題解決を行なう「パーソナルトレーナー」として、子供から高齢者まで運動指導を行なう。健康運動指導士や健康運動実践指導者養成講習会、企業、団体など講習会講師を1000回担当している。モットーは「情熱体力」。