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病名「ニコチン症候群」禁煙治療は保険適応です

実際の医療現場に従事されている皆さまに執筆いただき、健康に役立つコラムを展開しています。コラムカテゴリは健康マスター検定の公式テキストカテゴリーに揃えています。
公式テキストと照らしあわせていただくことで、幅広い学習をしていただけます

病名「ニコチン依存症」禁煙治療は保険適応です

 

最近、禁煙のテレビコマーシャルをよく見かけるようになりましたね。
今回は、禁煙です。
コマーシャルでは、禁煙が保険適応で治療できるようになったことを宣伝していますが、なぜ保険適応になるのか、お考えになったことがありますか?
それは、「喫煙」を病気と捉えているからなのです。
正確な病名は、「ニコチン依存症」です。
ニコチン依存症という病気を治すために、禁煙という治療を行うのです。

 

禁煙率は50年間で激減している

私も禁煙外来をしていますが、患者さんの禁煙理由は様々です。
「家を新築したから」、「子供が生まれるから」、「喫煙仲間が禁煙したから」、「娘に禁煙するように言われたから」などなど。
初診でいらした患者さんは、不安はあるも禁煙に対してのやる気をもっていらっしゃいます。私たち禁煙外来のスタッフは、そのやる気をできるかぎりサポートして行くのが役目だと思っております。

現在日本の喫煙率は、20%を切っており、先進国では平均的は喫煙率まで減少しています。男性の喫煙率は30.3%で、ピーク時の1966年は83.7%と比較すると、この50年間で53ポイントも減少しています。
喫煙者の減少は、タバコの健康被害に対する国の対策が功を奏した結果かと思います。
以前は、タバコのコマーシャルをよく見かけました。カッコ良くタバコを吸っている姿は、デキる大人はタバコを吸うものだというイメージを植え付けましたが、今では喫煙のテレビでの宣伝は禁止されています。また、タバコのパッケージにある警告表示も以前は箱の側面に小さく書かれているのみでしたが、今は片面半分に表示されるようになりました。ですが、他国では警告文ではなく、病気の写真やイラストを載せている国もあります

また、最近では、喫煙する場所がなくなったことも禁煙する一つの大きは理由ではないでしょうか。2010年に、「受動喫煙防止対策のあり方に関する検討会報告書」等を踏まえ、公共の場所は原則全面禁煙であるべきとする新たな方針が示されました。また、2014年6月に労働安全衛生法の一部が改正され、事業者に対して、労働者の 健康保持の観点から、受動喫煙防止措置の努力義務を規定し、2015年6月から施行されております。
公共の場所でも、職場でも喫煙できないのであれば、禁煙しようと思う方が増え、喫煙率が減少している状況だと思います。

日本専売公社、日本たばこ産業株式会社による調査より

 

禁煙を決意することが、禁煙のまず一歩です。禁煙のしかたは、人それぞれです。
周囲の人に禁煙することを宣言し、喫煙できない状況を作る方法。
周囲の人には内緒にして、禁煙が成功してから、あっと驚かせようとワクワクしながら禁煙する方法。
禁煙した自分をイメージして、健康的な生活をゲットしていただきたいと思います。

 

日本健康マスター検定公式テキスト p59「禁煙の成功率を上げるコツ」】

 


勝木美佐子 (かつき・みさこ)

医学博士/産業医/労働衛生コンサルタント
日本大学医学部兼任講師、日本医師会認定産業医、日本医師会認定健康スポーツ医、日本人間ドック学会社員、日本公衆衛生学会評議員、日本産業衛生学会指導医、人間ドック健診専門医・指導医他、複数の学会で座長も務める。臨床医として診療活動と共に、産業医の経験も豊富。2016年産業医事務所を開業する。