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お塩にも選び方があるのを知っていますか?

実際の医療現場に従事されている皆さまに執筆いただき、健康に役立つコラムを展開しています。コラムカテゴリは健康マスター検定の公式テキストカテゴリーに揃えています。
公式テキストと照らしあわせていただくことで、幅広い学習をしていただけます

お塩にも選び方があるのを知っていますか?

お塩を大きく分類すると、自然塩(天然塩)と精製塩の2つに分ける事ができます。見た目や質感・用途が違うだけでは?と思う方が多いかと思いますが、実は成分にも大きく違いがあります。

ミネラルの含有量が違う 自然塩と精製塩

自然塩(天然塩)とは、一般的に塩田を用いて海水を天日で乾燥させるなど、昔ながらの製法で作られた塩の事を指します。自然塩の塩化ナトリウム含有量は80%程度のものが多く、ニガリやミネラルが含まれたものです。また、岩塩も自然塩に含まれますが、ミネラル成分は少ないとされています。自然塩は粗塩などしっとりしたお塩が多いので、水分に溶けやすいのも利点の1つです。

また、精製塩とは、海水からイオン交換膜法で塩化ナトリウム99.5%以上に濃縮したものです。この精製方だと、人に必要となるミネラル「カリウム・カルシウム・マグネシウム」などがほとんど取り除かれてしまっています。食卓塩などサラサラしているものが多いので、使いやすいのが利点の1つですが、かけすぎの心配がありますね。自然塩と精製塩を食べ比べてみると、味の違いに驚く方もいるかもしれません。自然塩はミネラル・ニガリ成分などでまろやかさもあります。精製塩は99.5%以上が塩化ナトリウムなので塩辛さが勝っているものが多いです。

野菜とお塩の関係で見てみると 人との関係も分かりやすいかも

きゅうりと塩の関係で見てみると、酢の物などを作る時きゅうりに塩をかけておくと水分が出てきますよね?味付けをする前に水分を出しておくと、水っぽくならない・量を減らすなど、食べやすくなります。それは、塩によってきゅうりの細胞内外が浸透圧で、内から水がしみだすことによって起こります。
人間の体も同様で、細胞は内と外に分けられます。細胞内にはカリウムが、細胞外にはナトリウムが多く存在してバランスをとっていますが、塩分からナトリウムを摂りすぎてバランスが崩れると、細胞内から水分が血液中にしみだし、血液をはじめとする細胞外液が増加します。
塩辛いものを食べると、喉が渇きますよね?水分を取り、体が自然と細胞内外の均等を保とうとしている証拠なんです。摂りすぎは高血圧の原因になるだけでなく、それに伴う動脈硬化や脳梗塞、心筋梗塞、腎臓病などのさまざまな疾病を誘発する原因ともなります。
予防するためにも、塩も選んでみてはいかがでしょうか?

塩を上手に使って野菜をたくさん食べれる、夏にぴったりな1品を紹介したいと思います。

キャロットラペ

材料

  • ニンジン                1/2本
  • オリーブオイル        大さじ1
  • 白ワインビネガー   小さじ1/2
  • はちみつ               数滴
  • レモンスライス        1枚
  • ミントの葉            数枚
  • こしょう               少々

作り方

  1.   ニンジンを細切りにし、塩をひとつまみふり揉み込む。しんなりするまで置いておく。
  2.   ミントはみじん切りにする。
  3.   ボールにニンジン以外を全て合わせ、ドレッシングを合わせておく。
  4.   ニンジンがしんなりすれば水分を切り、③と合わせ器に盛り付ける。

ラペとは、フランス語でスライサーなどですりおろすと言う意味があります。お塩を使って量を減らせるので、小さい人参だと1本食べれてしまうかも。
また、パセリではなく、ミントを使う事で更に清涼感も味わえます。
ニンジンには、抗酸化作用を持つβ-カロテンが豊富に含まれています。
β-カロテンは体内でビタミンAに変化することで、皮膚や粘膜をすこやかに保つ働きや皮膚の新陳代謝を高める働きがあり、肌荒れや乾燥肌の改善にも役立ってくれます。
皮膚以外にも現代人の悩みでもある、スマホやパソコンなどによる目の疲れの解消、視界をクリアにしてくれる作用もあります。またビタミンA不足は網膜の光に対する反応を鈍化させてしまうため、β-カロテンやビタミンAの摂取は夜盲症の予防や改善にも有効とされています。

お塩を選び、上手に使えばお塩も嫌われものではなくなるのではないでしょうか?

日本健康マスター検定公式テキスト  p18「将来を変える塩の話」】

 


辻ヒロミ(つじ・ひろみ)

管理栄養士・調理師/辻ウエルネスクッキング講師
大阪府出身、帝塚山大学卒。パリのコルドンブルー フランス料理終了。中ノ島プラザ・フレンチレストラン「ルミエール」で修行。雑誌メゾン、プチフールなどのメニュー、レシピ制作、栄養指導等務める。“家族の健康は家庭料理から”と100年続く料理の心と技を継承する。