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お酒の適量、女性は男性の半分はなぜ?

実際の医療現場に従事されている皆さまに執筆いただき、健康に役立つコラムを展開しています。コラムカテゴリは健康マスター検定の公式テキストカテゴリーに揃えています。
公式テキストと照らしあわせていただくことで、幅広い学習をしていただけます

これからの季節、お酒は美味しいし楽しいですよね。最近はコロナウィルスにより「家飲み」や「リモート飲み会」が主流になってきているようで、深酒される方が増えてきたと聞きます。特に女性の飲酒量は健康問題に重要なので、触れてみたいと思います。

 

日本人は遺伝的にお酒に弱い

病院で働く中、患者様の退院指導などをすると、よく耳にする言葉が「私はお酒強いから大丈夫ですよ」や「私、お酒飲むとすぐに顔が真っ赤になっちゃうので飲みません」などです。この主観的な感覚は結構当たっています。しかし、強いと思っていてもアルコールを分解する過程で発生する、アセトアルデヒドの影響は受けてしまいます。

日本人は遺伝的にお酒に弱い

アルコールの分解過程:アルコール⇒ADH⇒アセトアルデヒド⇒ALDH1・ALDH2⇒酢酸⇒炭酸ガス、水

お酒(アルコール)を飲み吸収されたのち、肝臓のアルコール脱水素酵素(ADH)でアセトアルデヒドに分解されます。ここから先のALDH2に注目してください。

お酒が強いか弱いかはALDH2の遺伝子によるものです。更に3つに分かれます。

 

NN型:ALDH2が活性化していてお酒に強い

ND型:NN型の1/16しか活性化していない

DD型:ALDH2が活性化していなく、ほとんど飲めない。

 

私たち日本人の半数以上はアセトアルデヒドが分解されにくいND型とDD型が多いと言われています。そのため適量以上を飲み続けてしまうと、発がんリスクが上昇する危険性があります。今や二人に一人ががんになる時代と言われています。楽しい飲酒ライフを続けるためにも飲み方の工夫は重要ですね。

 

お酒の分解に男女差があり、女性の疾患リスクが高まる?

厚生労働省は健康日本21(第二次)で「生活習慣病のリスクを高める飲酒量」として男性40g以上 女性20g以上と定義しています。また、「高血圧治療ガイドライン2019」では男性20~30mL/day 女性10~20mL/dayと定義しています。ではなぜ女性は男性の半分なのでしょうか?

理由として

  • 体格差により男性より血中の水分量が少ないためアルコールの血中濃度が上昇しやすい。
  • 肝臓の大きさの差(男性平均1.5kg 女性平均1.3kg)の違いからアセトアルデヒドを分解する能力に差がある。
  • 女性ホルモン(エストロゲン)がアルコール分解を抑制してしまうため、アセトアルデヒドの分解能力が低下してしまう。

などと言われています。女性の飲酒量は年々増加しており、問題となっていることは

  • アルコール性の慢性膵炎患者が年々増加している。また、女性のがんの死亡数3位が膵臓がんであり、慢性膵炎から移行する可能性が高い。
  • アルコール量に比例して乳がんリスクが上昇している。乳がん患者は依然多い状態。
  • 統計的に女性の方がアルコール依存症となりやすく、平均で男性より20年早くなると言われている。
  • 女性は男性の半分の飲酒量で肝障害が起こりやすく、男性より11年早く肝硬変に至ると言われている。肝硬変になってしまうと元には戻らず将来的に肝臓がんへ移行する可能性がある。
  • 継続的な飲酒により将来的に骨粗しょう症になる可能性がある。骨粗しょう症による骨折は、生活の質を大きく下げてしまいます。

 

また、もう一つ大きな問題として妊娠中のアルコール摂取です。「ちょっとぐらい良いか」とお酒を飲んでしまうことで、赤ちゃんに胎児性アルコール・スペクトラム障害を起こしてしまいます。典型的な障害として顔面の奇形、知能低下、成長障害などです。これはちょっと我慢するだけで予防できる為、妊娠中の飲酒はやめましょう。

 

【参照ホームページ】

日本健康マスター検定公式テキスト 「よい飲酒、悪い飲酒」参照】

 

 


田中 亮 (たなか りょう)

   

看護師/介護福祉士/認知症ケア専門士

健康マスター普及認定講師推進リーダー ・メディカル会代表。埼玉県内の総合病院に勤務の傍ら、最新の医学論文を読み解き、日々facebookを中心に健康情報を発信中。フレンド登録数は4000人を超えている。