お酒は楽しい嗜好品ですよね。しかし、飲みすぎてしまうと将来的に病気になってしまうかも知れません。がんをはじめ、認知症や心臓疾患、不整脈、肝臓疾患、糖尿病などを起こす可能性があるため一緒に学んでいきましょう。
純アルコール量の計算で飲酒量を知る
アルコール量と言われても、どこにも表示してないため分かりづらいですよね。以下の計算式で出すことが出来ます。
純アルコール量(g):お酒の量(mL)×アルコール度数/100×0.8
例)アルコール度数5度のビール500mLの場合 500×0.05×0.8=20g となります。皆さんが普段飲まれているお酒で、純アルコール量を計算してみましょう。
私が病院で患者さんの嗜好品を聞くと、お酒を飲んでいる方が非常に多いと感じています。若い世代でも心房細動という不整脈になる方や糖尿病、肥満、高血圧など。60代からはアルコール性の認知症の方もあります。患者さんにどれだけ飲酒しているか聞いてみると、ほとんどの方が純アルコールにして50g/日以上。多い方ですと200g/日以上の方もいました。患者さんの生活指導で普段何気なく飲んでいる純アルコール量を見ていただくと驚かれる方が多いです。
ではなぜアルコールを摂取することで様々な病気になるのでしょうか?
●アルコール⇒アセトアルデヒド⇒酢酸に分解される過程でROS(活性酸素種)が増えます。活性酸素が蓄積することで、DNAや細胞に障害が起こります。
●アセトアルデヒドと同時に発生する補酵素のNADHが増えていくことで高血糖や、高尿酸血症、脂質異常症などが発症しやすくなります。
●アセトアルデヒドは体の中のたんぱく質や脂質、DNAとくっつきやすいため発がんを促してしまいます。
飲酒が関係する「がん」
世界がん研究機関の2018年のアルコール飲酒とがんの因果関係の判定結果です。
■確実とされているの
口腔がん、喉頭がん、咽頭がん、食道扁平上皮がん、大腸がん(30g/日以上)、肝臓がん(45g/日以上)、乳房がん(閉経後)
■おそらくとされているの
胃がん(45g/日以上)、乳房がん(閉経前)
■可能性示唆とされているの
肺がん、膵臓がん(45g/日以上)、皮膚がん(基底細胞がん、悪性黒色腫)
という研究結果が出ています。しかし、飲酒は「飲みにケーション」というだけあり、世界中の人々のコミュニケーションツールであり、嗜好であり、気分転換だと思います。私も様々なエビデンスを知っていたとしても、やはりお酒は楽しいものです。
ではどうしたら良いか?
それは総じて、命に繋がるリスクより、量を減らすことを第一に考え、飲酒をすることだと思います。男性においては一日のアルコール摂取量を23g/日未満にすることでがんのリスクを減らすことが出来ます。女性においては前回のコラムでもお話ししましたが、男性よりアルコールを分解する力が弱いため男性の1/2~2/3のアルコール摂取量に抑えることが良いとされています。また、飲酒と喫煙を併せることでがん死亡率が上昇すると言われています。お酒との上手な付き合い方は、アルコール摂取量を考え、喫煙をせず、2回/週以上の休肝日をつくることだと言われています。
【参照ホームページ】
【日本健康マスター検定公式テキスト 「よい飲酒、悪い飲酒」参照】
田中 亮 (たなか りょう)
看護師/介護福祉士/認知症ケア専門士
健康マスター普及認定講師推進リーダー ・メディカル会代表。埼玉県内の総合病院に勤務の傍ら、最新の医学論文を読み解き、日々facebookを中心に健康情報を発信中。フレンド登録数は4000人を超えている。